色川武大


色川武大(別名阿佐田哲也)が亡くなって8年が経つ。当時は、単行本未収録だった作品集もいくつか纏められたりしていたが、文庫化もほぼおわり、ここ数年は彼に関する新しい動きはほとんどなかった。しかし、文學界1997/5月号で、特集「色川武大と阿佐田哲也」が組まれ、久々に色川武大に対する関心も高まっているようだ。昭和36年の中央公論新人賞「黒い布」から平成元年読売文学賞「狂人日記」への歩みを振り返っておこう。色川武大略年譜 色川名義全著作リスト(書影付)
色川武大に関するちょっとした話題

色川武大・阿佐田哲也に関するホームページは、
今のところうちとここ(RONA shun-shin's HomePage)だけみたいです。
●全集は、色川名義の作品に関しては完全収録を謳っていたが、いくつかの遺漏はある。例えば「ショートショートランド」に発表された後アンソロジー『三角砂糖』に収録された短編「空の女」は全集に入っていない。もちろん他の単行本にも未収録。

『三角砂糖』S61-10-25 講談社

●今後の色川関連書誌の最大テーマは、デビュー前の昭和30年代前半に各社娯楽雑誌に井上志摩夫名義で書いていたという作品群だろう。相当量の作品(自筆年譜によれば百本余)が書かれたようだが、当時の編集者の手元にも数編しか残っていないらしい。国会図書館にもないだろう。 私が確認できた範囲で、リストアップしておく。
長脇差街道「別冊讀切特撰集」第一巻第六号(昭和32年10月15日発行)双葉社

旅烏の菊次郎が、ふとしたことから、さらわれた女を賭けてのサイコロ勝負。400字詰め原稿用紙で約30枚の短編。
厄病神太平記「讀切雑誌」第18巻10号(昭和42年10月1日発行)双葉社

雲霧仁左衛門一家の秘密をつかんだ因果小僧六之助。仁左衛門一家と同心のあいだをうまく立ち回り、千両の金を手にしたが....。400字詰め原稿用紙で約80枚の中編。ところで昭和42年には、既に井上名義はやめているはず。再録作品だろうとおもう。

●研究書・特集雑誌の類は以下のものがある。
『宿六・色川武大』色川孝子
文藝春秋 1990-04-25
「色川武大・阿佐田哲也の特集」
別冊話の特集 1989-07-10
「阿佐田哲也“雀聖”追悼特集」
近代麻雀オリジナル増刊号
 竹書房 1989-05-31
「文學界」平成9年5月号
特集「色川武大と阿佐田哲也」


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